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「ごみゼロ」大木町の挑戦10年超 総務省から表彰、焼却施設持たず資源循環/福岡県

 家庭ごみなどの資源を有効に循環させて生かす町づくりを進める大木町が、総務省の「2017年度ふるさとづくり大賞」で、地方自治体表彰(総務大臣賞)を受賞した。次世代にツケを残さず、地域活性化に向けた「ごみゼロ」を目標に据える。約10年におよぶ取り組みが高く評価された。

 町はごみ焼却施設を持たず、06年、生ごみとし尿を資源循環させるメタン発酵施設「おおき循環センター」(愛称・くるるん)を導入。08年には国内では徳島県上勝町に次いで2番目となる、ごみの再資源化や焼却、埋め立てゼロをめざす「もったいない宣言」(ゼロ・ウェイスト)を発表した。
 くるるんの稼働は、住民の環境に対する関心をより向上させた。
 大木町の15年度のリサイクル率は全国5位の65・3%。焼やすごみの割合は、くるるん稼働前の05年度の82・5%から16年度35・2%と、大きく減った。
 ごみゼロへの挑戦は九州大学とも連携。減量による経済効果(試算)を16年11月、「(くるるん稼働から)3億円生み出せた」と公表した。効果は、廃棄物処理費の削減にとどまらず、農産物の生産のための肥料購入費がリサイクルによる液肥で賄えるようになったことも含まれる。
 地方自治体表彰は全国で4カ所が受賞。東京で今月3日にあった表彰式には境公雄副町長が臨んだ。町によると、県内自治体の受賞は初めてという。
 総務省は「徹底した取り組みを10年以上継続し、実質効果を生み出している」とし、「ごみの減量・処理費用の削減だけでなく、バイオマスセンターや地産地消レストラン、農産物直売所における雇用創出など多くの効果をもたらしている」と評価した。
 一方、町環境審議会(荒巻弘二会長)は昨年11月、石川潤一町長に、ごみゼロの目標に対する審議結果を答申。そのうち、15年に実施した燃やすごみの組成分析調査で、まだ資源化できるものが「77%も含まれている」と指摘した。
 答申は「ちょっとした分別を意識するだけで、1人1日当たりの燃やすごみの排出量はさらに減り、これを全町に広げることでリサイクル率が向上。リサイクル率日本一が現実のものとなることが示された」とし、リサイクル率85%と、家庭から出る燃やすごみの量を年間400トンに抑えることを23年までの目標に掲げることが「妥当」と、求めている。
 石川町長は「環境をベースにした、地域の活性化や観光交流を図っていきたい。大木町が他の自治体の模範になれるよう、リサイクル率日本一をめざして歩みを休めることなく前進していきたい」と話した。

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