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森林のササは、暗い場所でも明るい場所の光合成に支えられている!?

たけのこがおいしい山菜として有名なチシマザサ(ネマガリダケ)は、雪深い日本海側のブナ林などに多く生え、しばしば高さ 3 m 以上にもなって密生する。こうしたササは多くの場合、100年以上もの長い一生のうち一度だけ広範囲で同調して開花し、結実後に枯死する。また、地下茎を伸ばして広がり、数十mにも及ぶクローンを形成する。秋田県立大学や山形大学などの研究チームは、1995年に十和田湖畔のブナ林で開花・枯死したチシマザサ集団の更新過程を分析し、ササが再び密生していく過程では、成長の速いクローンが生き残り、森林内の比較的明るい場所から暗い場所へと広がっていくことを明らかにした。ササのように地下茎を伸ばして広がる植物には、侵略的外来種となるような陸上生態系における優占種が多く含まれることから、この成果はこうした植物が密生するメカニズムを解明し、防除策を検討する手がかりとなりそうだ。

 

研究では、森林内の異なる光環境下に小規模の区画を設置して、区画内に生えるチシマザサのバイオマス量を経年観察した。また、DNA 分析や地下茎の探索調査から、延べ1600 本についてクローンを識別した。その結果、(1)バイオマスの回復には20 年以上の時間を要する、(2)成長の速いクローンほど生き残りやすく地下茎を伸ばして広がる、(3)暗い林内ではバイオマスの回復が遅いが、枯死後10 年目からは回復が加速した、(4)暗い林内では、区画外からクローンが広がってきてクローンの密度が上昇した、(5)区画外から広がってきたクローンが大型の稈を育てて暗い林内におけるバイオマスの回復に寄与した、ということが分かった。

 

こうした成果は、条件の良い場所で速く成長したクローンが光の乏しい林内へも広がっていくことで、森林全体でチシマザサが密生するようになることを示唆している。クローンで増える植物では、地下茎を介してクローン内で炭水化物を転流させることが知られており、ブナ林におけるチシマザサの密生過程は、比較的明るい場所における光合成生産によって支えられている可能性がある。

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