ニュースピックアップ
ニュースピックアップ

王子、三菱製紙に33%出資へ 需要減、競争力強化狙う

 国内製紙最大手の王子ホールディングス(HD)と6位の三菱製紙は6日、資本・業務提携すると発表した。王子が三菱に33%出資し、持ち分法適用会社にする。製紙業界は文書のデジタル化などで国内需要が減っている。両社は結びつきを強め、事業基盤や競争力の強化を狙う。

 現在、王子は三菱に2%超出資している。今年7月から来年12月までの間に三菱の第三者割当増資を引き受けて約23%の株式を取得する。さらに明治安田生命などが保有する三菱株を取得して33%に高め、筆頭株主となる。計100億円程度の取得費用を見込む。議決権を3分の1未満とし、三菱の経営の重要な事項で、王子が拒否権を持たないようにし、両社のブランドは維持する。将来の経営統合は否定した。
 両社は近く協業の具体的な検討に入る。原料の木材チップや燃料の石炭を共同購入するほか、チップ運搬船の共同運航や製品の共同配送による物流費の削減を検討。古い工場の再編も探る。2021年度にはそれぞれ営業利益で25億円以上の収益改善効果を見込む。
 王子と三菱は07年以降、共同でティッシュなど家庭向け製品の設備や、バイオマス発電所をつくるなど関係を深めてきた。6日に東京都内で開いた記者会見で、王子の矢嶋進社長は「(国内で)紙の需要が減る中、供給能力が大きく、輸入紙も多い。業界再編は(今後も)進んでいく」と話した。三菱の鈴木邦夫社長は「生産拠点の再編は当然考えていく」と述べた。
 日本製紙連合会によると、人口減少やペーパーレス化が進み、新聞やチラシ、コピーに使う紙の国内需要は06年をピークに11年連続で減少。10年間で約3割減った。近年はスマートフォンの普及もあり、書籍や雑誌の売り上げが落ち込む「出版不況」に直面。原料の一つ、古紙価格は高騰している。
 このため製紙業界では規模拡大で経営安定をめざす動きが続いている。業界2位の日本製紙は16年、特種東海製紙と段ボール原紙の事業を統合。業界4位の大王製紙は昨年、日清紡HDの製紙事業を買収した。

PAGE TOP