ニュースピックアップ
ニュースピックアップ

象牙国内取引、合法証明を厳格化 環境省、来年夏めど

 海外で強く批判されている象牙の国内取引について、環境省は、売買などに登録が必要な丸ごとの象牙(全形牙)を合法に入手したことを証明する方法を、来年夏をめどに厳格化する。過去の通関書類など公的な資料の添付を義務づけ、現在の登録量の9割以上を占める「第三者の証言」を認めない。中川雅治環境相が2日、方針を示した。実施されれば、流通量が大幅に減りそうだ。
 また、環境省は今春以降、関東、中部、近畿、九州の各地方環境事務所に違法取引を取り締まる専属職員(象牙取り締まりGメン)を1人ずつ配置する。
 象牙の国際取引はワシントン条約で1989年以降は禁止されている。一方、日本は国内取引を認めている数少ない先進国だが、全形牙は違法に輸入されていないと証明した上で、1本ずつ環境相への登録が必要だ。だが、近年は年1千本以上登録される全形牙の9割以上が、申請者の知人らによる「輸入が合法だった時期から申請者の家にあった」などとする証言で認められていた。
 NGOなどは、証言では根拠が薄く、悪徳業者などがうその登録をする恐れがあると批判する。甘い審査で登録された象牙が、密輸出されているとの指摘もあり、警察による違法取引の摘発も相次いでいる。
 すでに印鑑などに加工された象牙製品はそもそも登録の対象外だが、環境省は、おおもととなる全形牙の規制が進めば、違法象牙の流通をより確実に防げるとしており、国内市場への批判をかわす狙いもある。
 NGO「トラフィック」の北出智美代表は「第三者証言での登録を廃止するのは当然。管理強化のために、未登録の象牙も含めた国内の在庫把握を急ぐべきだ」と指摘する。

PAGE TOP