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「地方にこそ可能性」 持続可能な経済成長めざす 国連世界観光会議に300人/山形県

 国連の世界観光機関(UNWTO)などが主催する「雪と文化の世界観光会議」が2日、山形市内で開かれ、約30の国・地域から集った約300人が、雪国での観光のあり方を話し合った。参加者らは「山形からの持続可能な経済成長」の実現へ議論を深めた。

 スイス応用科学HTWクール大学のトビアス・ルーテ教授は「今は小さいほど柔軟、多様なほど強いという時代。小さな地方にこそ可能性がある」と指摘。安くて小ぶりな施設があり、家族連れでにぎわうイタリアのリゾート地などを紹介し、国連が2030年に向けて定めた「持続可能な開発目標(SDGs)」を念頭に、田舎でも工夫できると述べた。日本有数の規模の蔵王のスキー場については「住民と話し合って今後のビジョンを共有し、隠れた小さな『資産』を見つけられる」と話した。
 雪にろうそくをともす西川町の月山志津温泉の「雪旅籠(はたご)の灯(あか)り」なども報告された。討論の司会を務めたSDGパートナーズ代表取締役の田瀬和夫氏は「地域を生かすのが共通点。(シャトルバスなど)使いやすい交通インフラの整備も鍵だ」と総括した。
 閉会後の記者会見でUNWTOのタレブ・リファイ前事務局長は「多くの論点で議論の収斂(しゅうれん)があった」と成果を強調。具体的な行動につなげるべきだとして「山形のブランド戦略を描き、蔵王の物語を作る。例えば『悪いことをした人が樹氷になった。善行をすれば解放できる』という幻想の物語で、解放のイベントをしても良い」などと述べた。吉村美栄子知事は「とても有意義な意見交換があり、山形の観光振興につながると確信した」と語った。

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