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南方系カキ、温暖化?で北上中 和歌山や高知で確認 幼生定着、分布に変化 【大阪】

 本来は温暖な海に分布する「南方系カキ」が、和歌山県や高知県などの沿岸で相次いで見つかっている。いずれも食用でおなじみの「マガキ」に近い種類の二枚貝だ。調査を行った水産研究・教育機構瀬戸内海区水産研究所(広島県廿日市市)の浜口昌巳グループ長は「海水温が上昇した影響で、分布が北へシフトしつつある」と指摘する。
 もともと台湾などに分布していた南方系のカキ「オストレア・ステンティナ」は2015年、鹿児島県と和歌山県で生息が確認された。浜口さんらは昨年1月に論文で報告し、「アツヒメガキ」という和名をつけた。また、昨年2月には高知県で、本来は南シナ海や台湾に分布するオハグロガキの仲間を発見した。
 高知県では国内の他の研究者によっても、フィリピンなどに生息する「スミゾメガキ」が15年に、沖縄や奄美地方に生息する「ポルトガルガキ」が16年に、それぞれ報告されている。
 気象庁によると、日本近海の海面水温(年平均値)は、過去100年で1・09度上昇している。黒潮に乗って流れ着いた南方系カキの幼生が、特に冬場の水温の底上げによって、定着して成長しやすくなっているらしい。
 浜口さんは「温暖化が進むにつれて、日本近海では今後、南方系のカキがさらに増えてゆくだろう」と話す。

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