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電力の「地産地消」、八王子市が開始へ 清掃工場で発電→市施設で使用 /東京都

 八王子市は今夏から「電力の地産地消」を始める。市内の清掃工場でごみを焼いて作った電気を市の施設に送り、必要分の一部を賄う。市としては環境に優しい上、電気に掛かる費用の削減を見込めるなどの利点もある。都内の自治体では初めての取り組みという。
 市によると、今年8月からの予定で、戸吹清掃工場(同市戸吹町)で作った電気を、市役所や下水処理場、こども科学館など多くの電気を使う市の計6施設に送る。これらの施設の電気は現在、電力会社から買っており、その分の支出が抑えられる。一方、清掃工場で作った電気は現在、電力会社に売っていてその分を回すため、収入は減る。それでも損益をはじくと、年間約1千万円のコストダウンが見込めるという。
 さらに、電力会社から買った電気は石油や石炭などの化石燃料から作ったものが主とされる。一方、工場では、ごみを焼いた時に出る熱エネルギーを活用するため、市として出す二酸化炭素の削減につながるという。市では今回の変更で、これまでより年間で杉の人工林約240ヘクタール分の二酸化炭素の削減効果を見込む。
 また2016年には、当時の売電先だった新電力会社が破産手続きに入り、売掛金約7千万円を回収できなくなるという問題が起きたが、そうしたリスクも減らせる。今回の変更は、この売掛金未回収問題を発端に検討が始まったという。
 開始後は、清掃工場で作られた電気で6施設の電力のどの程度がまかなえているかなどを示す電子掲示板を市役所などに置き、環境意識の啓発にもつなげる考え。担当した立川寛之・都市戦略課長(47)は「コスト削減に加え、環境を重視する市の姿勢を示したものとしてもPRしたい」と話す。

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