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AIでイノシシ群れ捕獲 県、農作物被害対策に新型装置を導入へ /兵庫県

 イノシシやシカによる農作物被害を減らそうと、県は新年度から、新しい捕獲装置を導入する。人工知能(AI)を活用し、群れごと捕まえられるという。被害が大きい地域に「捕獲専門家チーム」を派遣する事業と合わせ、県は3千万円程度の事業費を見込む。

 県鳥獣対策課によると、野生動物による県内の農林業被害額(2015年度)は約5億7千万円。このうちイノシシやシカによる被害が約7割を占めた。
 県内では、シカは但馬地域、イノシシは北播磨や淡路地域に多い。シカは約13万頭、イノシシは約3万8千頭いると推計され、特にイノシシは捕獲頭数を増やしたのに生息数はここ10年ほど横ばい傾向という。
 新たに導入されるのは、3~4メートル四方の捕獲用オリ「AIゲート」。県森林動物研究センター(丹波市)などが開発中で、人工知能を備えている。被害防止対策が手薄な地域に数台を試験的に導入する。
 これまでのオリは、小さなイノシシ1頭が入ってもゲートが閉まっていたが、AIゲートはセンサーで捕獲に最適な頭数を検知。数頭の群れがオリに入った段階で、扉が自動的に閉まる仕組みだ。イノシシなどがオリに入ると、カメラ映像をメールで職員らのスマートフォンに自動送信するタイプもあり、その場合は職員らがスマホのボタンで扉を閉める。
 県はこうした装置を導入するほか、県内の猟友会に所属する猟師(約3400人)の数が地域で偏っている点を踏まえ、猟師10人程度で専門家チームを編成。市町から要請があれば、イノシシやシカの被害が大きい地域などに派遣する。県の担当者は「新しい技術も導入して、効果的に野生動物の被害を防ぐ態勢を整えたい」と話している。

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