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温暖化、影響軽減へ新法 災害や熱中症、計画的に対策

 地球温暖化による自然災害や、農作物の生育不良、人の健康への被害などを減らすための新法、「気候変動適応法案」を、政府が今国会に提出する。巨大台風に備えた堤防などの社会基盤整備や、高温に強い農作物の品種開発、熱中症予防といった、市民生活にかかわる様々な対策をまとめた「適応計画」づくりを法律で位置づけ、強化する。
 日本では年平均気温が100年で約1・2度上がっている。政府は1998年に地球温暖化対策推進法をつくり、温暖化の原因となる温室効果ガスの「削減」対策に取り組むが、今後も一定の気温上昇が続くのは避けられない。農作物の不作や感染症の広がり、異常気象による災害などが悪化する恐れがあるため、これらの被害を減らすための「適応」対策も進めていく。
 法案骨子によると、環境相がおおむね5年ごとに、農林水産業、水環境・水資源、自然災害、健康、産業・経済活動など様々な分野で、温暖化による悪影響を評価する。その結果をもとに、農作物の品種改良や、防災施設の整備・ハザードマップの作成、感染症予防などの対策の方向性・期間などを盛り込んだ適応計画を改定していく。対策に必要な情報収集・発信の拠点を国立環境研究所に置く。
 地域にあった対策を進めるため、都道府県や市町村が適応計画をつくることを努力義務とする。複数の自治体で計画をつくることもでき、対策を進める上での助言や調査研究などをする「気候変動適応センター」を各地域に置く。国と地方自治体が連携していくための協議会もつくる。
 また、適応対策に役立つ技術開発など企業の取り組みやビジネスを支援するほか、海面上昇に苦しむ島国などへの国際協力を推進する。

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