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碧きミャンマー、知って 牧野植物園、5月6日まで企画展 /高知県

 高知市五台山の県立牧野植物園で、企画展「ミャンマー大紀行 碧(あお)き回廊をゆく」が開かれている。同園はミャンマー天然資源・環境保全省と共同で同国内の植物相の調査をしてきた。企画展は「森林紀行」と「文化紀行」の2部構成で、ミャンマーの自然と文化を紹介する。

 同園は2000年にミャンマー林業省と研究協定を結び、世界に先駆けて調査を行ってきた。北はヒマラヤ山脈、南はベンガル湾に接するミャンマーは、国内の気候もさまざま。植物相の研究も進んでいなかったが、採集・分類・整理し、どの植物がどこに生えているか明らかにしてきた。
 「森林紀行」では、熱帯気候でマングローブ林が広がるという海岸付近の紹介として、マングローブの一種であるニッパヤシの葉や実を展示。現地では花序液でお酒が造られていると伝える。一方、標高2300~2700メートル前後の丘陵地帯には照葉樹林が広がり、コナラやシイの林があるという。さらに標高が高くなると草原が広がる。現地に生える草花の様子を写真パネルで紹介した。
 同園は今まで84回の調査で約2万6500点の標本を採取し、26種の新種も発見している。こうした新種の標本も展示している。
 「文化紀行」では、植物を利用したミャンマーの暮らしを展示。職員が調査の過程でお土産として持ち帰った現地の漢方薬や、衣類などを使い、市場の様子などを再現した。
 ミャンマーの伝統的な化粧品の一つは、ミカン科の植物の樹皮をすり下ろして使う「タナカ」だ。紫外線予防のために子どもや女性が顔に塗るという。
 竹を利用した民家も再現した。民家の屋根は、現地でとれるヤシやカヤなどの植物の葉が利用される。現在はトタン屋根が増えて、伝統的な植物の屋根はなくなりつつあるという。
 自身も50回以上ミャンマーに行き、研究してきた同園の藤川和美・植物研究課長は、「ミャンマーは人と植物の距離が非常に近い。多彩な気候や、植物を生活の中に使う知恵を知ってほしい」と話している。
 5月6日まで、一般720円、高校生以下無料。問い合わせは同館(088・882・2601)へ。

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