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日光、サル・シカの乱 お店・庭でむしゃむしゃ、花火で対抗

 世界文化遺産の日光東照宮などで知られる観光地、栃木県日光市の中心市街地がサルなど野生動物の被害に悩まされている。土産物店や住宅に入り込んだり、花壇を荒らしたり。観光客に危害を与えないかも心配され、市は「ロケット花火」などで対抗策をとっている。

 被害が出ているのは東武日光駅から東照宮など世界文化遺産の社寺へと続く国道119号沿い。
 近くで美容室を営む坂本正子さん(66)は一昨年、家の中の仏壇の果物をサルにごっそり食べられた。昨年8月には、朝のゴミ出しで外に出た時に2頭のシカを見つけた。シカは花壇の草花を食べており、その様子をスマートフォンで撮影した。坂本さん宅周辺ではシカやサルは一昨年から急激に増え始めたという。シカやサルは東照宮や日光二荒山神社などにも出没。サルが土産物店で店頭の食べ物を物色することも頻繁にあるという。
 今のところ観光客への大きな被害はないが、市観光協会の塩谷弘志事務局長は「観光客の荷物を奪ったり、けがをさせないか心配だ」と話す。市の環境美化委員の吉新(よしあら)佐紀子さん(68)も「周辺住宅の網戸はサルによって大半が壊されている」と指摘する。
 日光の目抜き通りを我が物顔で歩く野生動物の駆除に、市は頭を悩ます。出没地域は住宅と山林が近く、観光客も多い。人家がある場所では法律の規制で猟銃が使えず、わなも周辺の家で飼われているイヌやネコがかかる危険がある。市は代わりに、大きな音で追い払おうと、動物を追い払うための爆竹やロケット花火を近隣の家に配布して対抗策をとっている。
宇都宮大学の小金沢正昭名誉教授(野生鳥獣管理学)は「人口減少による耕作放棄地の増加などで、山林と人里との境界線がなくなっていることが原因だ。動物が住宅地においしいエサがあることを認識したのでは」と指摘。生息域を確認した上で、集中的な駆除が必要とみる。

▼この記事で当初、宇都宮大学の「金沢正昭名誉教授」とあったのは「小金沢正昭名誉教授」の誤りでした。訂正して、おわびします。

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