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「STOP クビアカ」サクラを守れ 県と市民団体協力、防除に本腰 /埼玉県

 サクラの木を食い荒らす外来昆虫「クビアカツヤカミキリ」による被害を食い止めようと、県が市民団体などの協力を仰いで「STOP クビアカ」作戦に乗り出す。県北を中心に生息が広がっており、確認されただけですでに20本以上の木が枯死し、伐採の憂き目に遭っている。クビアカをターゲットにした対策は全国的にも珍しいという。

 クビアカツヤカミキリは体長25~40ミリ程度で頭の下の前胸背板だけ赤く、他は黒いのが特徴だ。中国や朝鮮半島に自然生息し、輸入木材に付着するなどして国内に入って繁殖したとみられる。環境省が今月15日に特定外来生物に指定する予定だという。
 県環境科学国際センター(加須市)によると、県内では2013年に草加市で初めて確認された。昨年末までに草加、越谷市のほか県北の羽生、行田、熊谷、深谷、加須の各市で計170本を超す樹木被害や成虫の生息が確認されたという。
 クビアカはサクラ、モモなど主にバラ科の樹木を好み、幼虫が内部を2~3年間かけて食い荒らす。メスの成虫は1千個近く卵を産むとされ、他のカミキリより繁殖力が強い。同センターは「生息の広域化が懸念される。早期発見が大切だ」として、サクラの保全活動に取り組む団体などを巻き込む形で防除に本腰を入れることにした。
 同センターは、クビアカによる被害実態や防除方法などをまとめた手引を約7千部つくり、自治体窓口やホームページなどを通じて提供する。また、サクラの名所である幸手市の幸手権現堂桜堤の関係団体などを対象にした説明会を2月1日に開く。その後、同様の説明会を順次各地で開催する予定だ。
 被害の有無は、木の幹にあいた穴から「フラス」が出ているかどうかで見分ける。フラスは木の内部に侵入した幼虫のフンと木くずが混ざったもので、褐色で比較的硬く、かりんとう状をしている。排出孔が複数あると摂食が広範囲に及んでいると推測でき、伐採の対象になる。
 クビアカを駆除するには、フラス排出孔から幼虫に針金などを刺したり、農薬を注入したりする。同センターは、被害を確認したら近くの自治体窓口や同センター(0480・73・8331)に連絡してほしいと呼びかけている。

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