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狩猟免許取得、若者に期待 野生動物による農産物被害深刻化 /岡山県

 イノシシや鹿などを狩るための銃やわなの狩猟免許を取得する若者が少しずつ増えている。野生動物による農産物への被害が深刻化する中、県や猟友会は若者ハンターの増加に期待を掛ける。

 ■受験者、30代以下4割
 昨年12月上旬、体験学習施設百花プラザ(岡山市東区)で今年度最後の狩猟免許試験があった。受験者は年配の男性が中心だが、若者の姿も多い。大阪の大学に通う平岡早紀さん(20)は銃の免許が取得できる20歳になるのを待っての念願の受験。いずれは鹿やイノシシを捕まえて食べたいといい「自給自足がかっこいいと思う」。
 農家の安達頌さん(35)は昨春、鹿による農作物の被害を受けたのをきっかけに受験を決意した。「180センチほどの電気柵を設置したが、飛び越えてやってくる。わなで対応するしかないと思った」と話す。
 今回は網やわな、銃の試験に170件の申し込みがあり、このうち30代以下は約4割。試験会場の運営に携わっていた備前地区林務団体事務局の石井哲事務局長は「若い人の受験がここ数年増えてきた」。新規就農者や移住者の増加も影響しているといい「田舎で農業を始めた若い人が、農作物に深刻な被害を受けたのをきっかけに免許取得を考える場合も多いようだ」とみる。

 ■「環境づくり、魅力発信を」 高齢化・後継者不足 交付者60代超が7割以上
 30代以下の狩猟免許の所持者数は、2013年度から少しずつ増え続けている。県内の免許交付状況をみると、同年度の交付者5259人のうち274人が30代以下で前年度から29人増加。昨年度は30代以下が500人と過去15年で最多だった。
 割合でみても02年度から12年度までの30代以下の割合は4・5~5%で推移していたが、13年度の5・2%(全体5259人)から微増を続け昨年度は8・5%(全体5852人)となった。
 一方で、11年度から交付者の7割以上は60代を超えている状態だ。約3400人が所属する県猟友会の担当者は「高齢化と後継者不足は深刻」と懸念。そのため「農作物の被害もありやめるわけにはいかないと頑張って続けている人が多い。若者のメンバーが増えれば心強い」と期待する。
 イノシシと鹿による農作物の被害額は一昨年、計1億2740万円にのぼった。県や猟友会は免許保持者を増やそうと、受験料の補助事業(10年度)や、狩猟の魅力を伝えるフォーラムや講習会の開催(12年度)などに取り組んできた。
 県鳥獣害対策室の本田隆明主幹は「集落全体で被害対策をしようという意識も広がっており、所持者の増加という形に少しずつなっている」といい「受験しやすい環境づくりや魅力発信を続けたい」と話す。

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