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クマ800頭捕殺、悩む秋田 推定生息数の6割、抗議も 死傷者最多、住民「駆除を」

 秋田県内で今年度、ツキノワグマの捕殺数が前年度の1・7倍に急増し、推定生息数の6割弱にあたる817頭に上っている。自然保護団体が駆除の中止を求めているが、クマによる死傷者も2009年以降、最多の20人。住民の要請に応じた結果、捕殺数が増えたといい、県は人とクマの共存に頭を悩ませている。

 ツキノワグマは、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで危急種に分類される。環境省によると、国内では九州で絶滅と考えられ、四国では絶滅の恐れがあるとされている。「日本熊森(くまもり)協会」(本部・兵庫県、会員・約1万7千人)は昨年10月、「根絶殺害に近い」と、秋田県の佐竹敬久知事に有害駆除と冬の猟の中止を強く求める要望書を提出した。熊森協会の森山まり子会長は「前代未聞の数でむちゃくちゃ。見つけたら殺さなあかんという流れがあまりに残念です」。
 秋田での捕殺数は全国で群を抜く。環境省のまとめによると、今年度は昨年10月末時点で全国で最も多く、昨年度も全国最多の476頭。今年度は冬の猟も9年ぶりに解禁し、解禁の昨年11月15日から12月末までに26頭を捕殺した。
 ただ、県によると、12月末までの捕獲数は817頭に上り、すべて殺された。このうち、767頭は住宅地や農地への出没による「有害駆除」。増加は、住民の要請に応えた結果という。県警などによると、目撃頭数(12月末まで)も過去最多の延べ1500頭余。クマによる死者が1人、重傷者が5人出ており、死傷者数は計20人に上る。県自然保護課は「生活圏の近くで目撃され、住民から求められれば、対応せざるをえない」という。
 昨年6月に近所の住宅の外壁がクマにはがされた秋田市の男性(58)は「捕殺が多いことには色々な考え方があると思うが、目の前に現れると怖い」と語る。
 大量捕殺により生態系は脅かされないのか。秋田県は昨年4月時点で推定生息数を1013頭としていたが、昨年10月、クマは里山にもすみ着いているとして、1429頭に修正した。修正後の生息数から捕殺数を引くと、約600頭。だが、県は「今春生まれるクマも合わせれば、少なくとも約900頭になる」と説明。大量捕殺が今年度だけであれば、影響は少ないとみる。
 環境省野生生物課は、秋田の捕殺数について「必ずしも悪いというものではない」という。クマは県境をまたいで行動することも多く、推定生息数が正しいと言い切れないためだ。県は今年度から、約80カ所にカメラを設置し、より実態に近い生息数を調査。冬の猟を解禁したのは、クマに人里に下りないよう圧力をかける狙いがあるという。

 ■「いなくなる」警鐘
 クマの研究者らでつくるNGO「日本クマネットワーク」代表の石川県立大・大井徹教授(動物生態学)は「同じようなやり方を続ければ、いずれクマがいなくなる」と警鐘を鳴らす。大井教授は、生息実態に応じて捕らえたクマを山へ帰す「放獣」の検討を提案。「クマが里山に来ないよう山奥の自然を保護し、クマのエサになる果樹や生ゴミを人の生活圏で放置しないことが大切」とすみ分けの重要性を話す。
 

 ■昨年10月までの都道府県別捕殺数
 順位  県  捕殺数(頭)
 1位 秋田  697
 2位 岩手  272
 3位 山形  229
 4位 新潟  211
 5位 福島  183
 6位 群馬  164
 7位 青森  149
 8位 長野  139
 9位 岐阜  101
10位 福井   84
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全国計    2645
 (環境省まとめ、暫定値。北海道はヒグマ569頭)

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