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SDGs五輪、めざす東京 食材・木材に調達基準/CO2排出ゼロ

 スポーツの祭典を通じて、環境や人権を大切にする流れを広げよう――。2020年の東京五輪・パラリンピックで、こうした取り組みが動き始めた。めざすのは、環境の保護や貧困の撲滅など17分野の目標をかかげる国連の「持続可能な開発目標(SDGs〈エスディージーズ〉)」を進めることだ。

 国際オリンピック委員会(IOC)はSDGsに沿った大会運営を求め、大会組織委員会も「史上最高に持続可能な大会」をかかげる。国連が15年に採択して以降、夏季五輪として初めて準備段階から進める本格的なSDGs五輪をめざす。
 組織委がとくに取り組むのが、建設資材や食材だ。建設業者、選手村の食堂や競技施設のフードコートで食事を提供する業者らに対し、重要な6分野で調達基準づくりを進めている。
 すでに「木材」「農産物」「畜産物」「水産物」では基準をつくった。食品やせっけんなどに使われる「パーム油」と「紙」は3月末までにつくる。
 基準では、環境と、生産地で働く人や先住民の人権を守ることを重視する。木材は、伐採で生態系を崩さないことや地域住民らの権利に配慮することを義務づけた。
 農産物は環境や生態系との調和、水産物では小さい魚までとるのを減らす取り組みなどだ。第三者機関がこれらを審査して認証したものを推奨している。
 組織委は調達基準のほか、「持続可能性に配慮した運営計画」の第2版を6月までにつくる。自然エネルギーを増やしたり排出量取引制度を使ったりして、二酸化炭素(CO2)の排出を実質ゼロにする「脱炭素五輪」をめざす。再利用やリサイクルの推進、長時間労働の禁止や人権保護なども盛りこむ方針だ。

 ■緩さ指摘する声も
 ただ、早くも課題が浮上している。木材の基準では、コンクリートの型枠に使う合板について、熱帯林乱伐が起きている地域のものを排除していない。新国立競技場の土台の工事では、型枠にマレーシア・サラワク州の熱帯林乱伐で先住民と紛争が起きている企業のものが使われている。
 水産物、農産物、畜産物は、日本では資源保護や生態系への配慮を審査する第三者機関による認証が欧米に比べて普及していない。そのため、調達基準は、認証を受けたもの以外も幅広く使えるようになった。
 専門家からは、今のままだとSDGs五輪が実現できるか、疑問視する声もある。組織委で調達基準などを話し合う会合では、NGOや学者らから「過去の大会より緩い部分もある」との指摘がある。組織委の幹部は「何か一つでも良いので、20年以降の社会を変えるきっかけになるものを残したい」と話す。
 五輪は自然破壊が問題となり、1994年に五輪憲章で「環境保全」を明記した。2012年のロンドン大会や16年のリオデジャネイロ大会では、幅広く社会の「持続可能性」が重視された。東京大会はこの流れをさらに発展させられるかが問われている。
 

 ◆キーワード
 <SDGs(エスディージーズ)> 2015年に国連で全会一致で採択された「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals)。貧困の撲滅や格差の解消、環境保護など17分野の目標があり、30年が達成期限。日本はジェンダーの平等、気候変動への対応などの分野で課題が多いと指摘されている。

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