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京都、イノシシ次々 東山や祇園、今年10頭

 京都市の市街地で、頻繁にイノシシが出没している。京都府警などは今年に入って計10頭を確認。うち8頭は10月以降に現れた。東山や祇園などの観光地を暴走し、けが人も出ている。
 11月27日正午ごろ、左京区の平安神宮に体長1メートルのイノシシが現れた。神宮前では工事作業中の男性が後ろから突進されて転び、腕の骨を折った。その後は京都御所近くを駆け抜け、西に約3キロ離れた世界遺産・二条城(中京区)の堀に飛び込み、息絶えた。
 今月4日には、紅葉の名所で知られる永観堂(左京区)や、参道に湯豆腐屋が並ぶ南禅寺(同)の近くに5頭が姿を見せた。騒ぎは市東部に集中する。専門家によると、京都盆地の東側にある東山と市街地の間には田畑がなく、えさを求めて人里に出たようだ。
 狩猟との関係を疑う声もある。京都府内では11月15日に狩猟が解禁された。府猟友会の奥田定雄会長は「周囲の狩猟区から、狩猟が禁じられている鳥獣保護区の東山に逃げてくるのでは」と推測。イノシシの生態に詳しい宇都宮大の小寺祐二准教授も「狩猟期に人が山に入り、驚いて移動することはある」と話す。
 出没場所は水辺が多い。捕獲された8頭のうち、3頭は堀やプールなどの水中で死んだ。広島大大学院の谷田創(はじめ)教授は「イノシシは泳げるし、通常はおぼれない。極度の興奮状態で飛び込み、ショック死した可能性がある」と説明する。
 京都市動物園の坂本英房(ひでふさ)副園長によると、本来は神経質で臆病な性格。ただ、恐怖を感じて興奮すると、猛スピードで突進する。「背を向けず、向かい合ったままゆっくり後ずさりして逃げて。できれば建物や車の中、高い場所に避難してほしい」と話す。

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