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「草刈り」はえさ狩りのため アメリカザリガニの生態研究、東大など発表

 外来種のアメリカザリガニは水中で「草刈り」をして、えさをとりやすくしているらしい。そんな研究結果を東京大などのチームが英国の生物学誌オンライン版に発表した。
 アメリカザリガニは、在来の水生昆虫などを食べたり、水草を切ったりして、生態系に被害を与える。ただ、水草は食べずに切るだけの場合も多く、その理由はなぞだった。
 ザリガニが切れない人工水草の入った水槽で、1カ月後のザリガニの体重の増加量やえさのヤゴの生存率を調べた。人工水草の密度が高いとザリガニが成長しにくくなり、ヤゴの生存率が上がった。ザリガニがヤゴを見つけにくいためとみられる。
 一方、ふつうの水草の水槽で、ザリガニを1、2、4匹入れると、1匹より4匹の方がよく成長した。ザリガニがある一定の密度のときは、えさを奪い合う悪影響より、個体数が増えて草刈りがはかどり、えさが探しやすくなる効果が上回るらしい。
 チームの宮下直・東京大教授は「アメリカザリガニの個体数がある程度増えると、草刈りがはかどって、えさがとりやすくなり、さらに個体数が増えるという悪循環が起き、生態系の被害が急速に広がっていく可能性がある」と話している。

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