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二戸、漆器の木地製作に進出 一貫生産へ、まず職人研修 /岩手県

 国内最大の漆産地で漆器ブランド「浄法寺塗(じょうぼうじぬり)」を有する二戸市が、新たに器の木地製作にも乗り出す。木地師を養成し、原料供給から漆器製作まで一貫生産体制の構築をめざし、漆産業の拡大を狙う。
 市役所で1日、「木地師研修生」の辞令交付式があった。木地師は、材料の木を加工し、わんや盆など漆器の下地となる木工品を製造する職人。二戸市が今年7月に募集したところ、県内外から4人の応募があり、選考の結果、青森県八戸市出身で元福祉関連NPO法人職員の長畝(ながうね)崇さん(34)が選ばれた。
 藤原淳市長から「がんばって伝統を継いでほしい」と期待をかけられた長畝さんは「誇りをもって伝統技術を継承し、漆産業の振興に貢献したい」と抱負を述べた。市の非常勤職員として、木工が盛んな洋野町大野の工房で研修を受ける。最長で2020年3月まで継続できるという。
 二戸市は国産漆の7割を生産する一大産地で、地元の漆を使った浄法寺塗で知られる。伝統技術継承のため、塗師(ぬし)を育てる施設「滴生舎(てきせいしゃ)」を建設したり、若者を研修生として市内に招き漆かき職人に育てたりしてきた。だが、木地師は市内には不在で、市外や県外の工房に発注している。
 市内に木地師が常駐することで、漆の採取、木地製作、塗りと、漆器の全工程を地元で賄うことができる。漆産業のさらなる拡大や展開、安定した生産体制による雇用の安定化などが期待できるという。
 国産漆の需要増を機に、漆による地域振興を狙う市は、研修が順調に進めば木地師をさらに増やすことも検討するという。藤原市長は「この好機をいかして、漆による地域振興をさらに進めたい」と話す。

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