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青いキク、咲きました 世界初「予想外の幸運」 開発に16年、農研機構が公開/茨城県

 農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構、つくば市)はこのほど、世界初の「青いキク」を報道陣に公開した。様々な青い花の遺伝子をキクに組み込んで試したが、紫にすることはできても、青くするのが難しく、開発に16年かかった。担当した野田尚信(なおのぶ)・上級研究員(45)は「青くできたのは予想外の幸運からでした」と話した。

 野田さんによると、自然界に青い花は多くなく、全国の切り花の出荷量で4割を占めるキクにもなかった。「デルフィニジン型アントシアニン」という青い色素を作る遺伝子がないためらしい。同機構は2001年から遺伝子組み換え技術で青いキクの開発を開始。04年からはサントリーの研究所と共同開発してきた。
 キキョウ科の「カンパニュラ」の遺伝子を導入したところ、デルフィニジン型の色素が生成されたが、紫色にしかならなかった。「どうしたら青くなるのか」。野田さんたちは何十種類もの花の遺伝子を導入したが、なかなか成功しなかった。
 14年、マメ科の「チョウマメ」にあった色素に糖を追加する遺伝子を、カンパニュラの遺伝子と一緒に導入してみた。一般的に糖が多いほど花は赤くなると言われていて、この段階では野田さんたちは青くなると期待していなかった。
 ところが、咲いたキクは真っ青だった。昨年までの研究で、もともとキクにあった別の成分が、糖が増えたデルフィニジン型の色素と重なって青色を発色したと分かった。「幸運でした」と振り返る。
 遺伝子組み換え植物のため、野生のキクと交雑して種子を作らないようにする必要がある。市場に出るにはなお10年ほどかかりそうだが、野田さんは「他の花でも同様の手法で青い花ができそうです」と話した。

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