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環境DNAから絶滅危惧種ゼニタナゴの繁殖地を確認

広域の環境DNA調査と採捕調査の組み合わせによって、秋田県の雄物川本流で絶滅危惧種(IA類)ゼニタナゴの繁殖地を発見した。秋田県立大学やパシフィックコンサルタンツ(株)との共同研究の成果だ。

 

ゼニタナゴは、全長8cm程度の日本固有のタナゴ属魚類で、秋にタガイなどの二枚貝に産卵する。かつては青森県を除く東北、関東の1都11県に生息していたが、現在では、秋田県、岩手県、宮城県等の限定された範囲でのみ確認されている。ゼニタナゴが本来の生息環境である大河川に生息しているのは、現状では秋田県を流れる雄物川だけとみられるが、雄物川本流でゼニタナゴの成魚が確認されたのは11年前にさかのぼる。

 

そこで現状を調べることにしたが、ゼニタナゴなどの希少種は低密度で生息していて、従来の採捕調査だけでは発見が難しい。そこで水中に溶出した糞や表皮に由来するDNA断片(環境DNA)を分析することとし、雄物川の本流の112kmにわたる区間において、昨年8月に計3日間で99地点の表層水の採水を行い、採水したサンプルから環境DNAを取り出した。ゼニタナゴのDNAが検出された2地点では、その後、定置網などを仕掛け、うち1地点で成魚の生息を確認した。さらに、同じ地点で二枚貝への産卵が確認され、ゼニタナゴの繁殖地点を特定できた。この結果は、コスト面や信頼性において環境DNA手法と採捕調査の組み合わせが、希少種の生息地・繁殖地特定に非常に有効であることを示している。

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