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カヤの実、特産品に 皮で蒸留水、芳香剤 曽爾村農林業公社が商品化第1弾 /奈良県

 日々の暮らしで親しまれていたカヤの実を再び利用し、地域を元気にしよう――。そんな思いから曽爾村農林業公社が村の人たちの協力を得て、カヤの実を使った特産品づくりに取り組んでいる。第1弾として、芳香剤などとして使ってもらう蒸留水をつくり、村内の施設で販売を始めた。

 公社は昨夏に発足した。農林業の活性化策を探るうち、村内のお年寄りらからカヤの実を搾って食用油にしたり、煎っておやつにしたりしていたことを聞いた。村内にはヒダリマキガヤの群落(県指定天然記念物)があり、ほかにもカヤの木が残っている。今年からカヤの実を新たな特産品にする取り組みを始めた。
 実がなるのは10月ごろ。カヤの木はほとんどが民有地にあるため、所有者の了解を得て地面に落ちた実を拾い集めた。一緒に拾う所有者も。バケツで10杯ほどの実が集まった。
 皮はかんきつ系のようなさわやかな香りがする。まずは皮で蒸留水をつくることにした。環境省の「平成の名水百選」に選ばれている曽爾高原のわき水を使用。沸騰させて水蒸気で皮を蒸し、冷まして皮の芳香成分を取り出した。
 できあがった蒸留水は50ミリリットル入りの容器で200本。1本税別600円。村内の2施設「お亀の湯」「ファームガーデン」などで販売している。
 ラベルは今春村内に移住したフリーのグラフィックデザイナー、山本真由さん(36)がデザインした。「未来を切り開こうという村の思いに共感し、参加を希望しました。曽爾村の山と人々がつないできた命を想(おも)って考えました」
 第2、3弾として、皮を取った後の実を搾って食用油をつくったり、煎って菓子にしたりして、年内にも売り出す準備を進めている。
 公社の事務局担当で村企画課主任の高松和弘さん(38)は「早く軌道に乗せ、作業を村の人たちに手伝ってもらって村全体で取り組むようにしたい」と話す。村の人に実を集めてもらい、買い取ることも検討している。
 問い合わせは村農林業公社(村役場内=0745・94・2101)。

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