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冬眠前、注意 クマ被害が多発 えさ求め活動活発、住宅街にも

 東日本の各地でこのところ、冬眠を前にしたクマに襲われる被害が相次いでいる。青森では住宅街を徘徊(はいかい)し、複数の負傷者が出た。長野では山スキー中の被害も。昨年から全国的に被害は多めで、注意が必要だ。

 青森県八戸市の港にある倉庫内で15日午前、体長約1・6メートルのツキノワグマ1頭が射殺された。周辺の海上自衛隊八戸航空基地や住宅街では、5日前からクマが出没し、住民ら3人が負傷した。近隣の小学校は児童の送迎を保護者に依頼し、警察や猟友会がパトロールしたり、わなをしかけたりする騒ぎになった。射殺されたのは住民を襲ったクマと同一とみられ、周辺で安堵(あんど)の表情が戻った。
 県内のクマの出没件数は2015年までは年間200件ほどだったが、16年は502件に膨らんだ。今年もすでに400件を超えている。16年の県内での人的被害はなかったが、今年は8件も発生している。
 青森県自然保護課は、好物のドングリ類が不作で、山に食べ物が少なくなったことが原因とみている。昨年はブナの実が不作となったが、今年はコナラやミズナラの実も不作。食料を求めて山を下りてくる要因になっているようだ。森林総合研究所は「秋は冬ごもりに備えて、えさが必要な時期。なければ活動範囲が広くなり、危険性が増す」と注意を呼びかける。
 環境省によると、今年4~9月の半年間の負傷者は全国で82人。捕獲数は2818頭にのぼった。15年度の1年間で56人、1950頭だったのと比べて大幅に多く、16年度の105人、3787頭と変わらない水準で今年度も多いという。
 26日には、北アルプス白馬・乗鞍岳の標高2千メートル前後にある天狗(てんぐ)原付近(長野県小谷〈おたり〉村)で、日帰りの山スキー客がクマに遭遇し、頭をかまれて負傷した。新潟や山梨でも今月中旬、人が襲われる被害があった。
 山梨県峡北猟友会副会長の水上文広さん(68)は、森林の伐採が進んで生息地が減ったことが一因とみる。日本ツキノワグマ研究所(広島県)の米田一彦理事長は「里山に人が住まなくなり、クマが人里近くまで下りてきている」と話す。

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