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マリモ保護・活用両立狙う 阿寒湖・生育地ツアー、地元の官民一体 /北海道

 阿寒湖の天然マリモが、約半世紀ぶりに生育地で見られるようになる――。釧路市の阿寒湖畔で21日に開かれた「マリモの保護と活用に関するプロジェクトチーム(PT)」会合で、生育地へのガイドツアーが来年度から始まることになった。地元の官民が一体となり、マリモ保護と活用の両立を目指す。

 この日の会合で、PT事務局の環境省釧路自然環境事務所と釧路市教育委員会がまとめた基本方針案が示された。生育地のチュウルイ湾周辺のガイドツアーについて、「陸路」「水路+陸路」「水路メイン」の3パターンを想定。観光協会など地元住民らが実施主体となり、当面はマリモに触れることはせず、湖岸からの観察と湖北部の森の散策をしてもらう方向だ。人数は1日10人を上限とし、外来種の侵入を防ぐ措置も施す。水路のツアーでは、保護活動の一環として、マリモに悪影響を及ぼす水草の除去にも取り組んでもらう。
 ツアーは有料とし、マリモ保護や教育普及活動の資金として活用する。2018年度から2年間試行し、生態系への影響の有無を把握した上で、20年度から本格実施につなげるとしている。
 この基本方針案に対し、PTの参加団体からは「保護をアピールしながら生育地ツアーに取り組みたい」「試行を通じて本物を体感できるツアーを目指したい」など前向きな意見が相次いだ。年内にもガイドツアーの具体的なルールを取りまとめる。
 阿寒湖では大正末期から観光船がマリモ生育地に入り、船上から湖底のマリモを観察していた。だが観光船がマリモの生育環境に悪影響を与えているとして、1961(昭和36)年から乗り入れが自粛されている。その代替措置として生育地近くのチュウルイ島に展示観察センターが設けられ、観光客は観光船でチュウルイ島に渡り、屋内水槽でマリモを観察している。
 マリモのガイドツアーは国の「国立公園満喫プロジェクト」の主要企画の一つにも位置づけ、急増する外国人観光客を阿寒摩周国立公園に呼び込むことも狙う。PTの座長を務める一般財団法人「自然公園財団」の田中政人・阿寒湖支部所長は「今までやっていなかったことに取り組むが、今後も議論や試行を通じてマリモ保護と活用を両立できるツアーを作り上げていきたい」と話している。

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