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「幻のラン」、待ち焦がれた開花 79年ぶり発見の「シマクモキリソウ」

 79年前に小笠原諸島(東京都)の父島で採集されて以降、絶滅が心配されていたラン科の植物「シマクモキリソウ」を栽培して花を咲かせることに成功したと、国立科学博物館筑波実験植物園(茨城県つくば市)が発表した。今年6月に同諸島の南硫黄島で新たに見つかり、育てていた。19~26日に同園である「つくば蘭展」で公開される。
 同博物館の遊川知久グループ長によると、「シマクモキリソウ」は1916年に父島で初めて確認され、小笠原諸島固有の希少なランとわかった。ただ、38年を最後に採集例がなく、父島では絶滅した可能性があった。開発が進み、生息域が失われたためらしい。
 ところが今年6月、南硫黄島に都などの調査隊が入り、79年ぶりに少数の株を採集した。同植物園で栽培し、1株は2枚の葉をつけて全長12センチまで伸びた。つぼみが7個つき、一つが今月16日に開花した。もう一つも開花直前という。
 花びらは6枚で、一番大きな花びらは幅や長さが約1センチ。全体的に緑色をしていて、紫色の筋が入っている。「生きている間に見られるとは思っていなかった」と遊川さんは喜ぶ。
 今後、花から種子がとれるかが焦点。残りの株と交配できればいいが、残りはまだ葉が出たばかりという。

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