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パリ協定ルール、来年追加会合も COP23閉幕、対立鮮明

 ドイツ・ボンで開かれていた国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP23)が18日朝、2020年以降の地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の運用ルールづくりの交渉加速を確認することなどを盛り込んだ合意文書を採択し、閉幕した。今回、議論の土台はなんとかできたが、意見対立も鮮明になった。米トランプ政権による脱退宣言の影響も見え隠れし、今後の交渉は難航が予想される。
 パリ協定の運用ルールは来年12月にポーランドのカトウィツェであるCOP24で採択する。今回、各国の意見を並べた約60項目に及ぶ非公式文書がまとめられ、これを基に来年4月の早い時期までに運用ルールのたたき台をつくる。温室効果ガス削減や途上国への資金支援など多くの論点が残るため、4月末から5月上旬にある作業部会とCOP24の間に追加会合を開くことになりそうだ。
 資金支援ではCOP23でも先進国と途上国が対立、会期を延長して交渉が続けられた。米国のパリ協定脱退宣言で、途上国には十分な資金支援が続くのかという不安がある。日本政府関係者は「各国の駆け引きはこれからも続く」と話す。
 期待が持てる合意もあった。温暖化対策の強化をめざす「タラノア対話」が来年試行される。タラノアとは「開かれた話し合い」という意味だ。パリ協定では各国が自主的な削減目標をつくっているが、それだけでは産業革命以前からの気温上昇を2度より十分低く抑えるという「2度目標」には不十分だ。20年以降の各国の削減目標の見直しに弾みをつける狙いだ。
 交渉を見守った名古屋大の高村ゆかり教授(国際法)は「タラノア対話によって、世界の削減水準の引き上げの可能性が出てきたことは評価できる。削減の担い手であるビジネス界や自治体が存在感を一層高めたのも今回の特徴だ。国はこの動きを後押しする政策を取ることが大切だ。一方、日本の石炭政策には非常に厳しい声が寄せられた」と話した。(ボン)

 ■COP23の主な合意内容
 ・COP24までにパリ協定の運用ルールづくりの作業を加速させることを確認。追加会合を開く必要性について認識する
 ・「タラノア対話」は18年1月から始める。温室効果ガスの削減状況や達成すべき目標、そのために必要な行動などの情報を共有する
 ・20年までの先進国の温暖化対策の取り組み状況を検証する場を18年と19年に設ける

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