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マルハナバチ生息図できた 山大・東北大チーム 市民協力、写真で推定 /山形県

 東北大と山形大の研究チームが、減少が心配される在来種のマルハナバチ=キーワード=の目撃情報を市民から寄せてもらい、国内生息図をつくった。集まった4千枚を超えるハチの写真から種を同定。日時や場所のデータから、分布状況を地図にした。「環境の保全を考える基礎的なデータになる」と説明している。

 マルハナバチは花粉を運び、受粉する重要な役割を果たしている。だが、特定外来生物のセイヨウオオマルハナバチの定着や環境の変化で、在来種は減少傾向にあるとみられる。研究チームは2013年、現状を把握するため「マルハナバチ国勢調査」として、スマートフォンなどで身近にいるマルハナバチを撮影し、写真をメールで送ってもらうよう呼びかけた。
 東北大生命科学研究科の大野ゆかり特別研究員(理論生態学)によると、15年までの3年間に、国内にいる16種のマルハナバチのうち、15種の計4千枚以上の写真が寄せられたという。写真が撮影された位置情報などから、主要な在来種6種のマルハナバチの生息地を推定した地図をそれぞれ作った。
 推定分布を見ると、6種のうち4種は、森林と田畑、人の住居が入り交じる里山のような、森林が30~75%の場所が生息に適しているとされた。里山の維持がこの4種の保全につながると考えられる。
 市民からの情報をもとに研究につなげる手法は「市民参加型調査」と呼ばれる。たくさんの参加者がいると、広い地域を網羅的に調べることができる。
 大野さんは「多くの方の協力で、マルハナバチを取り巻く環境や、今後の分布域の変化や保全を考えることができるようになった」と話す。
 成果は、インターネット上の科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。

 ◆キーワード
 <マルハナバチ> ミツバチの仲間で、コロニーをつくって生活する。国内に生息するのは、外来のセイヨウオオマルハナバチを含め16種。北海道から九州まで広く分布する。体の大きさは1~2センチ程度。花々を巡る際に花粉を運ぶことで植物の受粉を助け、生態系の維持に役立っている。

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