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尾瀬・至仏山登山道、金属板で耐久検証 /福島県

 尾瀬国立公園の至仏山登山道を網目状金属板などを使って付け替える実証試験がふもとの鳩待峠(はとまちとうげ)(群馬県片品村)近くで2日から始まった。試験は場所を変えながら数年かけて行われ、金属板の新工法登山道が豪雪地帯の雪にどこまで耐えられるかなどを検証する。
 至仏山はオゼソウなど貴重な植物が生息する「花の山」だが、多くの登山者と積雪で登山道が荒れたため、尾瀬保護財団などは荒廃が激しい3カ所を、金属製の登山道に付け替える方針を打ち出している。
 今回の試験で有効性が認められると、全国の同様の登山道にも適用できると関係者の注目を集めている。
 今回は、冬季の積雪が2~3メートルになる鳩待山荘裏の管理用登山道の上に設置した。新工法を提案した、MTS雪氷研究所(東京)が、網目状の金属製登山道(60センチ四方)3枚を持ち込み、間伐材の丸太十数本と組み合わせて階段状に据え付けた。また、積雪の深さやずり落ちる距離、その際に生じる力などを測る仕掛けも設置した。
 今回の試験では、ずり落ちる雪に金属製登山道がどこまで有効かを調べる。その結果を踏まえ、次の段階は至仏山の上部に場所を移し、雪とともにずり落ちた登山道をバネで元に戻す仕組みや、様々な斜面での有効性を試すという。このため、実際に登山道の付け替えに適用されるまでには数年かかる見通しだ。
 この日は、試験実施者の同財団をはじめ関係団体の約20人が参加。東京のアウトドア環境保護基金(CAJ)の三浦務・専務理事は「長いスパンで支援を続けたい。アウトドアファンも巻き込む形でうまくいけばうれしい」とあいさつ。日本自然保護協会の横山隆一参事は「単なる木道整備ではダメと分かって20年。時間がかかった。民間資金による援助はつなぎとしてはありがたいが、国立公園と言うからには国が取り組みの主体になるべきだ」と話した。

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