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糸島のイノシシ、絶品の肉まんに 農産物荒らす厄介者、高校生がジビエ商品化/福岡県

 県立糸島農高(糸島市前原西3丁目)食品科学科の3年生4人が、糸島産のイノシシ肉を使った肉まん「糸島ししまん」を商品開発し、市民まつりなどで披露した。同高でジビエ(野生鳥獣)食品の商品化は初めて。市民には好評で、生徒たちは「イノシシ肉のイメージアップに貢献できた」と受け止めている。

 商品化を手がけたのは、同科食品製造ジビエ班の福本伶詩さん、坂井柚太さん、安本大将さん、吉武啓人さん。同科では昨年度からイノシシ肉食品の開発に着手。先輩たちがひき肉を使ってハンバーグやギョーザなどを試み、福本さんらに後を託した。
 4人は肉まんに的を絞り、糸島ジビエ研究所(西村直人代表)の指導や市内のそうざい店の協力も得て試作を続け、商品を完成させた。あんはイノシシのひき肉にタマネギやキャベツ、タケノコ、シイタケなどおおむね糸島産の食材を混ぜ、しょうゆかすも加えて味に深みを持たせた。「臭みを消しつつ肉感を生かすのに苦労しました」
 9月30日~10月1日に開かれた糸島市民まつりの「グルメグランプリ」に出店。1個300円で販売し、340個を売り上げた。10月21、22日には「ファームパーク伊都国」の収穫祭で計240個を試食品として提供した。
 試食した人のアンケートでは、味が「よい」と「ややよい」を合わせると76%。9割以上の人が今後イノシシ肉を「食べたい」「やや食べたい」と答えるなど高い評価を得た。
 「コンビニエンスストアなどで売られている肉まんと比べると割高で市場規模の拡大は難しいが、イノシシ肉の普及啓発には役立ったのでは」と指導の江藤秀夫教諭。次はシチュー作りを目指すという。
 糸島、福岡両市によるとイノシシによる農産物被害は年間約7200万円(2013年度)で、鳥獣被害総額のほぼ3分の1を占める。糸島市内では15年度、約1800頭のイノシシが被害対策関係者らによって捕獲され、一部が食肉として処理加工されている。

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