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ゼニゴケの全ゲノム構造を解明

京都大学、豪・モナシュ大学、近畿大学、神戸大学、国立遺伝学研究所、基礎生物学研究所、東北大学など国内外の大学・研究機関が、共同でコケ植物のゼニゴケの全ゲノム構造を解明した。全ての陸上植物は藻類から進化し、約5億年前に水中から陸上へと進出した。コケ植物の一種であるゼニゴケは、陸上進出後の最も早い時期に進化した植物の系統で、陸上植物の祖先の特徴を保っている。このためゼニゴケを用いた研究により、全ての陸上植物に共通する重要な分子メカニズムとその進化を解明することが可能になると期待される。

 

今回の研究では、次世代シークエンス解析と分子系統解析によりゼニゴケの全ゲノム構造を解明した。また、遺伝子の構成と他の植物種との系統関係も明らかにした。ゼニゴケゲノムには約2万個の遺伝子が含まれており、陸上植物の祖先種と考えられる藻類に比べて遺伝子の数や種類が大きく増加していることがわかった。また、雌雄異株であるゼニゴケの性を決めるX・Y染色体双方の構造も特定した。ゼニゴケでは、様々な発生過程・生理応答を制御する「スイッチ」の役割を果たす転写因子の遺伝子数が、他の植物種に比べて少ないという特徴があった。しかし、陸上植物に共通する転写因子の基本セットは保持しており、遺伝子数の少なさは重複がほとんどないことによる。従って約5億年前に植物が陸上化した段階で基本遺伝子セットが確立しており、転写因子が重複したことがその後の進化をもたらした要因の1つであると考えられた。

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