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放射性セシウムの水への溶け易さの違いを解明

原発事故で放出された放射性セシウムなどの放射性核種の水溶解性は、河川や海洋の生態系への移行や除染を考える上で重要である。河川水中での水溶解性は、懸濁粒子への吸着反応によって支配され、放射性セシウムの場合は特に懸濁粒子中の粘土鉱物が重要な吸着媒となっている。

 

旧ソ連で原発事故が起きたチェルノブイリ地域のプリピャチ川と、福島第一原発事故に見舞われた地域の口太川における放射性セシウムの水溶解性を比較した。その結果、チェルノブイリ地域では放射性セシウムの溶存成分の割合が70%程度であるのに対して、福島地域では30%程度であり、前者で水溶解性が高いことが分かった。その原因として、チェルノブイリ地域では、懸濁粒子中の粘土鉱物への放射性セシウムの吸着が、天然有機物(腐植物質)により阻害されるためであることが、X線吸収法(XAFS法)などの分析から分かった。さらに放射光を用いたX線顕微鏡(STXM)による分析により、チェルノブイリ地域では粘土鉱物と腐植物質が安定な複合体を作っていることが分かり、その原因として、両地域の地質や土質の違いが考えられた。

 

チェルノブイリ地域は、泥炭地で覆われて腐植物質の供給量が多く、炭酸塩が主体の地質であるため河川中のカルシウム濃度が阿武隈水系の4倍程度高い。高いカルシウム濃度は粘土鉱物-腐植物質複合体を安定化させる効果があるため、最終的にチェルノブイリ地域で粘土鉱物への吸着が起きにくくなる。一方で、口太川周辺の表層は風化花崗岩が主体であり、河川水中の有機物濃度やカルシウム濃度は低く、粘土鉱物と腐植物質の複合体は生成しにくいため、放射性セシウムは懸濁粒子に吸着されやすいと考えられた。

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