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野草、早咲きで進化 アキノキリンソウ、夏に咲く新種 京大助教ら調査 【大阪】

 秋に黄色い花を咲かせる「アキノキリンソウ」のうち、初夏に早咲きする一部が新種に進化しつつあると、京都大の阪口翔太助教(進化生態学)らが英国の植物学専門誌に発表した。同じ種が別々の場所に隔離されることで新種が生まれることはよく知られているが、開花の時間的なずれによる進化は珍しいという。
 アキノキリンソウは日本全国に分布し、田んぼのあぜ道や登山道に咲く黄色い花が親しまれてきた。通常は秋に咲くが、阪口さんらは北海道の一部で、初夏に咲くアキノキリンソウに注目した。これは蛇紋岩の土壌に生えるもので通常より約40日早く咲いていた。通常の花が咲くころには枯れてしまうため、ほとんど早咲き同士で花粉を交換していた。
 北海道の49地点で3、4株ずつ採取し、それぞれのDNAの3400カ所を調べた。祖先からどれくらい遺伝的に変化したかの指標をみると4地点で早咲きの花は明らかな遺伝的違いがあると判断できたという。
 早咲きのアキノキリンソウは葉が細く小さくなっていて、形態も少し異なる。夏場、蛇紋岩の土壌の温度が高温になりすぎて枯れてしまい、夏の前に花を咲かせないと種を残せないため、早咲きになったと考えられるという。阪口さんは「多くの種は地理的な隔離で分化するが、『時間的な隔離』による分化が実証されるのは極めて珍しい」と話す。

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