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地域と調和、見ごたえ十分 奥能登国際芸術祭

 能登半島の先端、石川県珠洲(すず)市で「奥能登国際芸術祭」が開催中だ。11の国と地域から39組のアーティストが参加。見ごたえがある作品がそろい、地域の歴史や文化が浮かび上がる。
 今年のベネチア・ビエンナーレ日本館代表の岩崎貴宏は「小海の半島の旧家の大海」と題し、古民家の室内に塩を敷き詰めて海を出現させた。食品トレーでつくった精巧な船が行き交い、この家にあった人形や民芸品がぷかぷかと浮かぶ。「家の中に日本海のイメージを閉じ込めようと考えた」と岩崎は言う。
 台湾の呉季ツォン(ウージーツォン)と陳淑強(チェンシューチャン)の「Passing」は、漁業用の網を使った幻想的なインスタレーションだ。網針やガラスの浮き玉が網とともにつるされ、その中を光源が上下して、巨大なスクリーンに影が投影される。漁網の補修に使われていた倉庫という、場所にぴったりの展示だ。
 一方、過疎に直面する地域を鼓舞するような作品も。トビアス・レーベルガー(ドイツ)の作品は、カラフルなトンネルを抜けた先に望遠鏡が置かれている。のぞくと、ポップな文字で「Something Else is Possible(なにか他にできる)」と書かれた看板が見える。
 各地で芸術祭を手がけてきた総合ディレクターの北川フラム氏は「豊かな里山、里海、古くからの多様な交流がある。大化けする可能性のある芸術祭だと思う」と話す。
 22日まで。鑑賞パスポートは一般2500円。実行委員会事務局(0768・82・7720)。

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