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志津川湾、海藻すくすく 研究者ら今年も調査、ラムサール登録期待 /宮城県

 東日本大震災で被災した南三陸町の志津川湾。水深3~4メートルの浅瀬には「海のゆりかご」と言われ、魚の産卵や稚魚のすみかとなっている海藻がしっかりと根を張り、波にゆらめいている。その貴重な生態が保たれているのを、今年も研究者らが確認した。

 寒流と暖流がぶつかる好漁場の同湾は、マコンブとアラメというコンブ類のそれぞれ南限、北限近くに位置する。その希少性から、震災前には、国際的に重要な水辺を保全するラムサール条約の登録候補地に選ばれていた。
 震災で1メートルほど地盤が沈下すると、日光が弱まり、一部のアラメが枯れる事態も発生。しかし、環境省の委託を受け7月上旬にあった研究者らによる経年調査では、枯れた場所より浅い岩礁では健全に育っている様子が確認できた。
 調査リーダーの田中次郎・東京海洋大名誉教授(藻類学)は「浅い場所の群落はこの3~4年で増えた感もある」と評価。条約登録は震災で棚上げになっていたが、町が期待する来年の登録にも「十分値する」と太鼓判を押した。
 震災後、同湾でも海岸沿いに防潮堤の建設が進んでおり、そのために絶滅危惧種のアサクサノリの生育場所が失われるなどしているという。町ネイチャーセンター準備室の阿部拓三・復興支援専門員は「まだ残っている貴重な自然を守るためにも、ラムサール条約への登録の意義は大きい」と話している。

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