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道産トドマツ使い新開発 道北で利用拡大盛ん /北海道

 道内の森林資源トドマツの利用拡大を図る動きが道北で活発だ。道立総合研究機構の林産試験場(旭川市)は新しいフローリング材の製造法を開発し、普及に乗り出した。民間主体でトドマツの新商品を開発し、販路を広げようとの動きも進む。

 ■林産試験場、床材加工の技術 民間主体、家具へ活用に道
 今春、南富良野町の保育所内に設けられた地域交流スペースでは、トドマツを使ったフローリングの床で遊ぶ子供たちの声が響く。軟らかく傷がつきやすいトドマツを、頑丈な床材に加工する技術を開発したのが、同試験場だ。
 トドマツは加熱・圧縮すれば広葉樹なみの硬さになるが、割れや裂け目ができたり、横方向に不規則に広がったりする欠点があった。それを防ぐためには特殊な装置が必要でコストもかかる。同試験場は、木材同士を横に並べると、互いに反発して型枠の役割を果たすことを発見。簡単にきれいな圧縮材ができる技術として特許も取得した。
 トドマツは道内の人工林面積の5割強を占める。中でも上川地域はこうした森林資源が豊富だ。戦後植林された木が伐採期を迎え、より太い木材が取れるようにもなったことから用途の拡大が課題になっている。
 試験場の担当者は「トドマツが育ち、近年は立派な太い丸太が出てくるようになった。植えて60年もたてば朽ちてくるし、使わないと山が荒れる。利用してまた植えるというサイクルを確立させなければならない」と話している。
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 民間が主体となって新商品の開発も進んでいる。
 上川地域の工務店や家具メーカーでつくる協議会は2011年から、トドマツを使った柱や梁(はり)などの構造材とフローリング材を「夢来(むく)」と名付けて売り出し、椅子やテーブルも作った。
 トドマツはこれまで、構造材や床材、家具などには向かないとされ、大きな柱の間に立てる間柱や窓台などの「羽柄材」、梱包(こんぽう)材、仮設用資材などに使われてきた。だが、協議会では「一般住宅ならトドマツの強度で十分」と商品化を模索。傷付きやすさがネックになりやすい床材や家具でも、柔らかな質感をアピールしてきた。子供やお年寄りに安心だと好意的な反応もあったという。
 同試験場や上川総合振興局の協力も得て、一般向けの自作家具キットの商品化も進めている。子供が遊べる屋内キッズブース用で、来年1月にあるショッピングセンター業界の商談展示会でPRする予定だ。

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