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カッチカチなゾウムシ、秘密は「細菌と共生」 産業技術総合研究所など

 甲虫の一つクロカタゾウムシの針も簡単に通さないほどの外骨格の硬さの秘密は、体内で共生している「ナルドネラ」という細菌のおかげであることを、同研究所などの研究グループが突き止めた。米国科学アカデミー紀要のオンライン版に掲載された。
 同研究所生物プロセス研究部門の深津武馬・首席研究員によると、クロカタゾウムシは体長1.5センチほどで沖縄・八重山諸島に生息している。標本用のピンがなかなか通らないほど、甲虫の中でもとりわけ外骨格が硬いという。
 昆虫の外骨格はキチン質とたんぱく質が結合してできているが、この結合にはアミノ酸の一種「チロシン」が必要になる。クロカタゾウムシはこのチロシンを、体内で共生しているナルドネラ菌から大量に得ることで、硬い外骨格を形成できるらしい。
 幼虫の体内から菌を減らすと、羽化した成虫の外骨格は軟らかく赤っぽくなった。遺伝子解析から、ナルドネラ菌はメスの体内で卵に感染することで、1億年以上前からクロカタゾウムシの祖先と共生していたとみられるという。
 深津首席研究員は「宿主に硬い外骨格を与える代わりに、細菌は栄養もエネルギーもすべて宿主からもらっている。共生関係の深さがわかる」と話す。

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