ナミブ砂漠の奇妙な木
アフリカ西南部に位置するナミビア共和国。大西洋沿岸には南北に約1900キロ、東西に最大幅は約160キロにも及ぶナミブ砂漠が広がる。この砂漠は約8000万年前から存在する「世界最古の砂漠」とされている。
ナミブ=ナウクルフト国立公園はナミブ砂漠とナウクルフト山にまたがるアフリカ最大の国立公園で、今回の写真は「デッドフレイ」と呼ばれる地域で撮影した。
デッドフレイとは「死の沼地」を意味するそうだ。ここは大小の赤茶色の砂丘が続く中に盆地のように存在し、砂の色が白い。なぜ白いのかと言うと、その昔に川の氾濫(はんらん)で浅い湖ができたがやがて湖は干上がり、残留した塩や粘土によって白い状態となったそうだ。
当時育っていた樹木は立ち枯れ、幹だけが残り、現在も砂漠の中に立つ。ちなみにこの木はアカシアで、乾燥地に適しており、砂漠で生きるキリンやラクダがよく食べる。
赤茶色の砂丘を背景に、白い平地に奇妙な形の黒い木が点在する。その光景はまるで別の星のもののように思えた。時間とともに変化する光によって色彩やコントラストが変わり、何度シャッターを切っても切り足りないくらいだった。
【撮影地】ナミビア共和国 ナミブ砂漠 デッドフレイ
(谷角靖)
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■プロフィール
たにかど・やすし/1973年大阪生まれ。2006年にカナダ永住権を取得。以降、現在までカナダの雄大な自然を撮影するとともに、世界各地へフィールドを広げる。極北のオーロラや絶景を得意とし、カヤックやドローンなども駆使して撮影に挑む。写真展や著書も多数。(公社)日本写真家協会会員
公式ホームページ http://www.yasushi-products.com/