色彩でめぐる世界の絶景

ビーナスベルトと地球影を背に広がるロッキー山脈の冬景色

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 カナダのユーコン準州という北緯60度以北に位置する地に住み、早くも20年。この極地が拠点のためどこかへ撮影に出かける際は、まず州都ホワイトホースからカナダ西部の玄関口であるバンクーバーへ飛ばないといけない。

 その距離は直線で1500キロ、陸路で2600キロ。車だと2日半もかかるため、たいていは飛行機を使う。この写真も早朝便での移動中に撮影した。座席は太陽が昇る方角と真逆の西側を選んだ。なぜなら経験上、このシチュエーションであれば、逆光よりも順光のほうが美しい色彩が表現できると予想したからだ。

 一日を通じて僕が一番好きなトワイライト(薄明)の時間帯。上空1万メートルにあって、飛行機の小さな窓から見えるのはロッキー山脈の雪景色だ。空にはピンク色の帯状グラデーションに染まる「ビーナスベルト」、その下には濃い青色の「地球影」が広がっていた。この絶好のシャッターチャンスに夢中で撮り続けた。

 風景を眺めていると山の中間あたりから半分下が黒く、上は雪で白い。黒いのは針葉樹林帯であるのがよくわかる。カナダの北緯54度付近だと標高2000メートル付近が森林限界線となり、まるで正確に測ったかのように同じ標高の場所で分かれているのがよくわかる。

 この森林限界線は北緯が上がると標高が下がり、さらに木々は細くなり、カナダの大陸の果て北緯70度に達すると標高0メートルで針葉樹林はなくツンドラ地帯のみが広がる。要するに冬の厳しい寒さで木が育たないからだ。

 【撮影地】カナダ・ブリティッシュコロンビア州 北緯54度付近飛行中

 (谷角靖)

 

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■プロフィール
 たにかど・やすし/1973年大阪生まれ。2006年にカナダ永住権を取得。以降、現在までカナダの雄大な自然を撮影するとともに、世界各地へフィールドを広げる。極北のオーロラや絶景を得意とし、カヤックやドローンなども駆使して撮影に挑む。写真展や著書も多数。(公社)日本写真家協会会員

 公式ホームページ http://www.yasushi-products.com/

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