森林文化協会からのお知らせ
講座・シンポジウム

第2回「森林環境」市民講座を開催

IMG_7489「環境異変と山の生き物たち」をテーマにした「森林環境」市民講座(森林文化協会主催、朝日新聞社後援)を2014年7月19日午後1時半から、東京都中央区の朝日新聞東京本社読者ホールで開き、約80人が参加されました。

「地球温暖化で脅かされる高山の生き物」と題して講演された福山研二・国際環境研究協会プログラムオフィサーからは、標高が100m上がると気温は0.6℃下がり、標高で1000mの移動は水平距離では800kmに相当するなどと、はじめに山の環境についての説明がありました。温暖化が進めば、高山の生き物はより高い場所へと追いやられることになります。標高が異なると花粉を媒介する昆虫相も異なってくるため、同一種と考えられていた植物にも遺伝的分化が生じている例としてサラシナショウマが紹介されました。こうした場合、温暖化によって植物自体が影響を受けなくとも、昆虫が影響を受ければ、結局、植物にも危機が訪れる可能性があります。土壌中にすむササラダニが気候変動の指標生物となるという知見も示され、今後はこうした生物を通した環境モニタリングの重要性が増してくるとのお話でした。

「DNAが明かす山岳域の生き物の多様性」と題して講演された東城幸治・信州大学理学部准教授は、長野県・上高地の代表的景観をつくっている梓川が、かつて岐阜県側へ流れていたという地史的な変化を紹介し、川に依存して暮らす昆虫のオビカゲロウがその変化を反映した遺伝的分化を示しているとの研究結果を報告されました。こうした山岳域の地殻変動と生物の分化、すなわち生物多様性の創出は深く関係しており、トビケラやカメムシの仲間でも例を示されました。また時に人里への大量出没が問題とされるツキノワグマですが、長野県内で捕らえられた個体はいくつかの遺伝グループに分かれており、遺伝的な交流の機会を確保する上で、クマが長距離移動できる環境が大事であることを指摘されました。

講演後の質疑・討論では参加者から多くの質問・意見があり、生物多様性の捉え方やその守り方について、活発な意見交換ができました。

「森林環境」市民講座は昨年の大阪での開催に続き、今回が2度目の開催でした。今後も皆様のご期待に応えられるような内容にしていきたいと思います。

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