秋の東御苑を五感で堪能
森林文化協会主催の野外セミナー「皇居東御苑を楽しむ」が、11月27日(日)開催されました。91歳から14歳までの約60名が参加し、15日から公開された富士見多聞内部も見学。紅葉の美しさに魅せられ、芽吹きだした素心蝋梅(そしんろうばい)に清々しさを感じました。
東御苑は、旧江戸城中核の跡地に造られた皇居付属の庭園です。都心の真ん中にありながら、東京ドームの4倍以上の敷地を誇ります。参加者らは宮内庁庭園課OBたちによる名解説を聞きながら、約3時間をかけて散策しました。
都内在住の森林文化協会会員田澤尚子さんに、感想をうかがいました。
東京に住んでいながら、初めて都会のオアシス東御苑を訪れました。美しい景観を眺めながら講師の方のお話をお聞ききし、東御苑のすばらしさを五感(視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚)で堪能することができました。
目に飛び込む紅葉の鮮やかさとは別に、馴染み深い銀杏の木も、黄色一色の葉をつけていました。ここで初めて「異形葉(いけいよう)」という言葉を知りました。同じ木に切れ込みのない葉と、切れ込みのある葉とがまじっています。樹齢や生息環境によって形が変わる異形葉を手にし、木の生長とともに見た目を変化させるなんて、まるで人間の成長と同じだな、と思いました。
枯れ葉を踏みしめるサクサクという音は耳に心地よく、さらに耳を澄ませると果樹園のあたりでは、さまざまな鳥の鳴き声が聞こえてきました。カモメギクは、カモミールなどのハーブ系の香りがしました。オオシマザクラの木の葉も香り高く、桜餅を包み込む葉であることを思い出しました。
葉に触れてみると、同じサクラやトチの木でも、ツルツルの葉を持つもの、ザラザラの葉をもつものがあることを学びました。
果樹園では、江戸時代に食用とされていたナシやモモ、柑橘類などの古品種が植栽されています。ブンタンやみかんは実もたわわで、もぎ取ってちょっと味見をしたい衝動に駆られました。
同じ五感も、季節の移ろいで変化していきます。春の東御苑が今から楽しみです。すばらしい体験をさせていただき、ありがとうございました。