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水域と陸域の違いを考慮した農地景観多様度指数を開発

水田や森林といった水陸両方の生態系が入り混じった里地里山は、多様な生き物の生息の場となっており、その景観分布の把握は、重要な課題である。特に、人口減少に伴って、水田が乾燥した畑や耕作放棄地になることは、トンボ類や両生類のような水域と陸域の両方を利用する生物にとって致命的だ。しかし、Satoyama Index等の従来の里地里山景観を指標する指数では、湿地的役割を果たす水田も乾燥した畑も同列に取り扱っていたため、水陸両方を必要とする生物の観点からは、水域の減少が里地里山景観に及ぼす影響を適切に評価できなかった。

 

そこで国立環境研究所は、水域と陸域のように生態学的に異質な土地タイプがバランスよく含まれている農地景観ほど高い数値を示す農地景観多様度指数 (DSI)を考案し、日本全国で地図化した。DSIは、農地を含む約6km四方の空間内に、より多様な土地利用・土地被覆タイプ(水田、畑、自然林、自然草地等)がバランスよく含まれ、非農地面積の割合が高く、かつ、水域と陸域のように生態学的に異質な土地利用・土地被覆タイプが含まれるほど高くなる。DSIは従来の指数と比べてイトトンボ種数の分布と正の相関関係が強くなる傾向が示され、生物多様性保全の観点から妥当なものであると考えられた。

 

今後、DSIを応用することで、耕作放棄や転作による水田喪失を介した里地里山景観の変貌を、生き物の視点から評価することが可能になり、より『里地里山らしい』景観の保全計画に役立てられる。また、福島県の避難指示区域において、広範囲に停止した水田稲作が避難指示解除によって再開した際に、どれくらい里地里山的景観が回復するのかを評価するにも有用とみられる。

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