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熱中症防げ、木陰運ぶベンチ 五輪・パラへ効果検証 群大など

 真夏に開催される2020年東京五輪・パラリンピックで、選手や観客の熱中症対策に生かせるようにと、群馬大学と東京都農林総合研究センターが、霧状の水(微細ミスト)を噴き出す移動式ベンチの実証実験に取り組んでいる。ミストで体感温度を下げ、樹木で作り出す木陰でリラックスさせる効果があるという。
 ベンチは、大型の鉢植えのまわりに座面が設けられ、鉢には広葉樹が植えてあり、直径約3メートルの木陰を作り出す。170センチほどの位置にミストを噴霧する装置が付いており、一般的な大人の頭や顔周辺に細かい霧があたる仕組みになっている。ベンチ下にはキャスターが付いており、移動できるようになっている。
 実験は2014年から東京都内のイベントなどの会場近くにベンチを置き、効果を調べている。同大大学院理工学府の天谷賢児教授(54)によると、昨年までの実験で、ベンチ周辺の体感温度を木陰だけで7・1度、微細ミストと併用すると11・1度下げることが確認できたという。
 これまでミストの噴霧位置は大人が立った高さに合わせていたが、7月からは車いすの障害者や、背の低い子どもたちの快適性についての実験も始める。天谷教授は「猛暑の中で、人工物のテントでは感じにくい木陰の癒やしの効果も期待できる」と話す。
 8月からは屋外スポーツをしている選手たちが競技や練習の合間に移動式ベンチを使って体調を維持したり、リラックスしたりする効果についても調べる。研究に参加する日本工学院八王子専門学校(東京)の小松雅樹専任講師(45)は「樹木の癒やしや発散する水分の効果が選手の心拍数や体調にどんな影響があるか、まずはテニスコートの脇で検証する」という。
 今後、県内の公園やコンベンション会場などでの活用や、東京五輪やパラリンピック会場での採用を目指し、準備を進めているという。

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