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クニマス群泳の夢追う 田沢湖で山梨で奮闘中

 仙北市の田沢湖の固有種クニマスを展示する「田沢湖クニマス未来館」が7月1日、同湖畔にオープンする。7年前に約70年ぶりに山梨県で生息が確認され、先月の「里帰り」で注目が集まるクニマスの繁殖に意欲を燃やす人たちが、秋田に、そして山梨にいる。
 ■「未来館」にまず5匹
 14日、市が整備中のクニマス未来館の水槽に、先月山梨から来たクニマス10匹のうち5匹が移された。いずれも2歳魚で、体長20~25センチ、体重100~150グラムほど。1匹ずつポリ袋の中から出されると、やや興奮した様子で2立方メートルの水槽の中を泳いでいた。
 10匹は先月から、北秋田市の県水産振興センター内水面試験池で「体ならし」をしていた。この日、大竹敦館長(元県水産振興センター所長)や飼育員2人が試験池から5匹を持ち帰った。今後、病気などの事態に備えて試験池と未来館で分けて育てられる。
 飼育員は、いずれも未来館の近くに住む千葉明義さん(60)と千葉康幸さん(45)。4月17日に市の臨時職員に採用され、同月は試験池で1週間、5月中旬には山梨県富士河口湖町の「クニマス展示館」で5日間、水槽の洗浄方法などを研修してきた。
 明義さんは、祖父の留蔵さんがクニマス漁師で漁業権を持っていたことや、クニマスは病気の時にしか食べられない高級魚だったと父の義雄さんから聞いたことがある。
 「大切に育て、1匹ずつ名前を付けて、大きさと顔で見分けられるようになりたい」と意気込む。
 康幸さんは、子どものころから学校や地域でクニマスの話を聞いていた。
 「服に水が飛んだ時など、服が乾いても細菌は死なないことを研修で学んだ。他の場所から水を持ち込まないように気をつけ、クニマスの健康を一番に考えて大切に育てたい」
 クニマスは1940年、田沢湖に強酸性の玉川の水を流し入れたことで絶滅したとみられていたが、かつて田沢湖から卵を送った山梨県・西湖で生息しているのが2010年に確認された。
 ■目標は養殖、水温など模索 山梨県水産技術センター忍野支所長・岡崎巧さん
 山梨県水産技術センター忍野(おしの)支所の岡崎巧支所長(49)は、4年前からクニマスの人工飼育に取り組んでいる。「養殖を可能にして山梨の特産品にしたい」と目標を語る。
 クニマスは美味で知られるヒメマスの近縁種。西湖には両種が生息する。かつて食べ比べたことがある漁師は「クニマスの方がしっとり脂がのってうまい」と断言する。外見はヒメマスそっくりで、最初は飼育もヒメマスにならえばうまくいくだろうと思っていた。
 人工飼育は11年秋、西湖から産卵間近の親魚を13匹捕獲して始まった。人工授精で飼育第1世代の稚魚約700匹が育った。この後でつまずいた。
 14年冬、ヒメマス同様に第1世代が3年で成熟し、第2世代が大量に確保できると期待した。ところが、成熟して卵や精子を放出する親魚は十数匹にとどまった。15年冬も正常な卵や精子は確保できなかった。
 研究を通じて、ヒメマスより低い水温で一年中飼うことが、クニマスを親魚にする必要条件だとわかってきた。忍野支所では12・5度の富士山の伏流水を使用している。今春からは東京海洋大の大泉ステーション(同県北杜〈ほくと〉市)に一部の魚を移し、10・5度の湧水(ゆうすい)で成熟を図る。
 クニマスの卵と精子を、飼育しやすいヒメマスに育ててもらう「代理親魚(しんぎょ)」という方法も試している。「秋に代理親魚のヒメマス約200匹が成熟すれば、正常な卵と精子が採れるはず」と期待する。

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