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「天上の妖精」青い花咲いた 上三依水生植物園のブルーポピー

 「ヒマラヤの青いケシ」と呼ばれ、標高が3千メートルを超える極地だけに自生する多年草のブルーポピーが、日光市の上三依水生植物園で咲き始めた。透明感のある神秘的な青色の花を一目見ようと、毎年この時期には全国からツアー客が訪れる。地元の観光の目玉に育ったブルーポピー。そこには20年以上前に、この花で地元を元気にしようと奮闘した町職員の存在があった。
 ブルーポピーが国内で初めて脚光を浴びたのは1990年の大阪花博。北海道で育てられた花が展示されたのがきっかけといわれる。この年に、日光市と合併前の藤原町が上三依水生植物園を開設した。
 当時、町の建設課長だったのが藤川徹さん(74)。上三依は標高が高く、冬季の冷え込みも厳しく、ブルーポピーの生育条件が合いそうだと庁内会議で提案。この花で観光客を呼び込もうと、北海道や長野などに足を運んで栽培方法を習い、育て始めた。しかし、栽培は難しく1年で枯れるなど失敗した。
 それでも藤川さんはあきらめなかった。2003年には藤川さんが園の管理担当者になり、50株を取り寄せて本格的に栽培を始めた。ブルーポピーは高山植物だけに暑さに弱い。用土を模索し、日光を遮るよしずを使い、根の周りの温度を下げる水やり方法などを模索した。
 3年目の05年には栽培方法も安定。花が咲き誇るようになり、これまで4月から5月がピークだった園の入場者も、ブルーポピーの開花期にあたる6月がトップになった。当時の4~5月にかけての入場者は4千から6千人だったが、6月は1万1千人を超えたという。
 園には現在、500株のブルーポピーがあるという。藤川さんは「ブルーポピーは『天上の妖精』とも言われ、今でも多くの人たちが観賞に訪れる。この花を育てる場所は数少ないので、貴重な資源を大切にして観光誘致に役立ててほしい」と期待を寄せる。

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