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アユ稚魚、謎の不漁 豊漁予想の中「ほぼ壊滅的」

 琵琶湖のアユ漁が思わぬ危機に陥っている。昨年12月に解禁された、稚魚のヒウオ(氷魚)がさっぱりとれていないためだ。産卵数は平年値の2倍が確認され、豊漁予想の中でのまさかの事態。県は「暖かくなればとれるはず」と期待をつなぐが、漁師に不安が広がっている。
 「こんなにとれないなんて初めて。弱ってますねや」。琵琶湖北部で約25年、アユ漁を続ける大久保作蔵さん(72)はそうため息をつく。
 漁が解禁された昨年12月1日の朝、例年なら200~300キロとれるヒウオが、引き上げた網には1匹もいなかった。産卵は好調だと聞いていたため、初日だけの異変かと考えたが、以降も漁獲量は1回平均で3~5キロのまま。今月16日に漁船を出したときも、この時期なら例年60~70キロあるのが、1キロほどしかなかったという。
 燃料費などをまかなうだけの漁獲量もない状態が続く。「漁に出ても赤字が出るだけだが、いつかとれると信じてやるしかない」
 県漁業協同組合連合会(大津市)によると、ヒウオの不漁は琵琶湖全体に及び、「ほぼ壊滅的な状態」(担当者)。例年より倍近い日数を漁に出ているが、漁獲量は3分の1程度だという。
 休漁する漁師も出始めた。堅田漁協(大津市)でアユ漁に30年取り組む今井政治(まさじ)さん(67)が、12~1月にとったヒウオは例年の1割ほど。今月に入っても一向に好転しないため、3月中旬までの休漁を決めたという。「養殖業者や料理屋にも影響が出るだろう。このままだとしたら、来年以降も心配だ」と気をもんでいる。

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