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群馬・片品に「あげおの森」 二酸化炭素排出量取引で協定
- 2022/09/08
- 朝日新聞
埼玉県上尾市は、群馬県片品村の森林5・64ヘクタールについて、村と共同で整備する協定を結んだ。森林が吸収した二酸化炭素(CO2)量を、市のCO2排出量と相殺する「カーボンオフセット」事業の一環。排出側として他の自治体と排出量取引の協定を結ぶ例は、埼玉県内で初めてという。
共同で整備する森林は、片品村の武尊山(ほたかやま)の一部で「あげおの森」と名付けられた。上尾市が資金提供し、地元の森林組合などが植樹や下草刈りや、間伐といった整備を行う。協定は27年度までで、今年度は市の一般財源から約200万円を拠出する。両自治体は災害時の応援協定を結んでおり、上尾市が今回の協定締結を打診した。
今回整備する「あげおの森」のCO2吸収量は年間数トン程度で、市全体の排出量(年約100万トン)と比べると相殺量はごくわずか。ただ、市は昨年7月、2050年までにCO2排出量を実質ゼロにすることをめざす「ゼロカーボンシティ宣言」をしており、再生可能エネルギーの利用や省エネ対策を進めるとともに、カーボンオフセットも取り組みの一つに挙げる。
畠山稔・上尾市長は「いずれは住民交流の場としても活用したい」と述べ、梅沢志洋・片品村村長は「村にとっても価値のある協定でありがたい」と話した。小中学生らの環境学習の機会なども設けていくという。
CO2を吸収する側としては、県内では秩父市が19年、東京都豊島区と同様の協定を結んでいる。