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サトウキビから紙、時代の風に乗って 富士の会社、「バガス紙」売り上げ上向き/静岡県

 サトウキビの搾りかすを原料とするバガス紙の生産で国内トップのシェアを誇る会社が富士市にある。包装紙などの特殊紙を製造している五條製紙。木材パルプの代替原料として森林資源の保護につながるため、企業の環境意識が高まる中で売り上げも徐々に伸びているという。
 昨年12月、東京ビッグサイトで開かれた環境関連商品の展示会「エコプロ」に、同社のバガス紙が出展された。
 バガスは、サトウキビから砂糖を精製する際に出る搾りかすを指す。廃棄物のリサイクルになるほか、紙の原料にすることで木材の使用量を減らすことにもつながる。
 同社では、タイにある砂糖工場に隣接してバガスパルプの生産工場を建設し、ベルトコンベヤーでつなげて原料のバガスを運ぶことで、運搬にかかるエネルギーも削減できる。展示の説明によれば、バガスパルプの年間生産量は約10万トンで、立ち木300万本、二酸化炭素(CO2)の排出40万トンの削減につながっているという。
 シート状にしたバガスパルプは富士市の工場に運ばれ、バガス紙を生産している。木材パルプを混合しないと強度を保てないが、技術の進歩からバガスの配合率は50%程度まで上がる。木材パルプ紙よりコストは高いが、資生堂などの化粧品パッケージのほか、健康食品など環境への配慮をアピールしたい製品への採用が増えている。バガス紙が同社の売り上げ全体に占める割合は約10%にまで増えてきたという。
 同社の片山勝弘常務は「前回の展示会に比べ、今回は企業関係者や学生など見学者が増えた」と手応えを感じているという。

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