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利尻島、初のヒグマ対策会議 情報共有、周知徹底へ 全戸に対策パンフ /北海道

 利尻島に渡ったヒグマについて、地元自治体や関係機関、研究者らが話し合う初めての対策連絡会議が7日、利尻富士町役場で開かれ、目撃情報などの共有や島民、観光客への周知の徹底などを確認した。

 会議では、6日に現地を調査した道立総合研究機構・環境科学研究センターの間野勉・自然環境部長が「前脚の幅が15~16センチあり、大型のオスの成獣」と説明。フンの中身から「野草を中心に食べており、生ごみや農作物などは含まれていない。目撃情報はなく、人間に対して慎重なクマだと思う」と語った。
 今後について、間野さんは「いまは交尾期で、メスを探しに泳いで島に来たのだから、メスがいないとわかれば本島に戻る可能性が大きい。ただ、いなくなったことを確認するのは難しい」と話した。
 島はタラの芽やタケノコ採りの季節。山菜採りはヒグマに遭遇しやすく、地元2町は鈴やラジオなどの携帯や、ヒグマが好物のエゾニュウなどセリ科の植物や、昨年落ちたドングリがあるような場所は注意するよう呼びかける。生ごみなどを放置しないよう島民や、キャンプ場を訪れる観光客へも啓発していく。
 いまのところ、街中への出没や人に被害が及ぶような問題行動が見られないため、捕獲は考えていない。宗谷総合振興局の永安芳江・環境生活課長は「捕獲が必要になった時の準備はするが、まずは問題行動を起こさせないようヒグマの生態を知ることが大切」といい、道が製作したヒグマ対策のパンフレットを全戸に配る予定だ。
 利尻富士町の田村祥三町長は「島にはヒグマに対する知識や経験もなく、不安の声も届く。早く帰ってくれればと願うが、まずはどうヒグマと付き合っていくか、これから整理したい」と話していた。

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