緑の情報アラカルト
緑の情報アラカルト

原発避難地域の野生生物はいま?

%e7%a6%8f%e5%b3%b6%e5%a4%a7ierdscn0661

●研究活動懇談会では会場との意見交換がなされた

福島大学環境放射能研究所による研究活動懇談会が11月25日、「福島の避難地域の野生生物はいま」と題して、東京・科学未来館で開かれましたので参加してきました。福島第一原発事故後の2013年に発足した同研究所はこれまで、こうした懇談会を福島県内で4回開いてきましたが、避難地域を生態学的に評価する視点と地域と関わる住民の状態を県外の人々にも知ってもらおうと、初めて東京で開催したそうです。

 

特に問題となっている環境中の放射性セシウムは現在、その多くが土壌中にあって、原発から5kmほどの地点では、今も1kg当たり1万Bq超の土壌汚染が観測されるなどしています。ただし、その放射性セシウムは動きにくく表層に局在していて、溶出も極めて少ないそうです。

 

野生生物の状況としては、調査した放射線レベルでは「タケの遺伝的変異は発生しない」「イノシシは高線量域で異常な二動原体染色体の発生頻度が高まっている」「チェルノブイリのヨーロッパアカマツと同様の形態変化(主幹部成長停止)が、福島のアカマツでも観察された」「人間が退避したことにより、特定の野生生物(イノシシ、サル、アライグマなど)の個体数は増加しているように思われる」といったことが報告されました。放射線影響が本当に起こっているかを確認するのは容易ではなく、野外観察と比較実験の結果をもとに検証されていくことになります。また、野生動物の個体数増加は直接的な放射線影響ではありませんが、高線量地域から人間が退避したことによる間接的影響を受けての変化だと考えられています。

 

なお、「福島での被曝によるがんの増加は予想されない」としたUNSCEARの報告を“GOOD NEWS!!!”と紹介した同研究所のプレゼンテーションなどに対しては、会場から「議論のある問題であり、一方的に高評価を与えて取り上げるべきでない」といった批判の声も聞かれました。国際機関の発表したものであっても、それをどう取り扱うかという点で、さまざまな考え方があることも浮き彫りになったようです。

 

福島の森林における放射線影響に関しては、これからも同研究所をはじめとする多くの機関によって研究が続けられていきます。森林文化協会としても、できる限りのウォッチを続けていきたいと思います。

PAGE TOP