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『センス・オブ・ワンダー』を語る上遠恵子さんvs小西貴士さん

自然体験を軸に子育てを進めようと活動している人たちが集う「森のようちえん全国交流フォーラムin東京」が11月3~5日に東京・代々木で開かれました。『グリーン・パワー』で何度か連載をしてくださった森の案内人/写真家の小西貴士さんが、エッセイスト/翻訳家の上遠恵子さんと5日、2時間にわたる対談をされたので聞きに行きました。題名は「『センス・オブ・ワンダー』を読み返す」です。

 

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●「森のようちえん全国交流フォーラムin東京」の対談会場にて。スクリーンの右が上遠恵子さん、左が小西貴士さん

『センス・オブ・ワンダー』は、アメリカの海洋学者であり、『沈黙の春』で農薬による環境汚染に警鐘を鳴らしたレイチェル・カーソンの最後の作品。姪の子であるロジャーと自然に触れ合いながら過ごした中で、自然や子どもについて感じたことを記してあり、上遠さん自身が日本語訳を出版されています。この本を読み返すことで改めてレイチェル・カーソンの子どもを見つめる目を意識することができますので、この日の対談はいくつかのフレーズを取り上げながら進められました。その中でも、最後に小西さんが気持ちを込めて朗読された部分(『センス・オブ・ワンダー』P25-26)を紹介しましょう。

 

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子どもたちがであう事実のひとつひとつが、やがて知識や知恵を生みだす種子だとしたら、さまざまな情緒やゆたかな感受性は、この種子をはぐくむ肥沃な土です。幼い子ども時代は、この土を耕すときです。

美しいものを美しいと感じる感覚、新しいものや未知なものにふれたときの感激、思いやり、憐み、賛嘆や愛情などのさまざまな形の感情がひとたび呼び覚まされると、次は、その対象となるものについてもっとよく知りたいと思うようになります。そのようにして見つけ出した知識は、しっかりと身につきます。

消化する能力がまだ備わっていない子どもに、事実を鵜呑みにさせるよりも、むしろ子どもが知りたがるような道を切りひらいてやることのほうが、どんなに大切であるかわかりません。 

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森のようちえんの活動では、知識を押し売りするのではなく、子どもたちの感性を大切に育てます。でも、ただ「感じていればいいんだ」ではありません。子どもたちにいろいろな学びをしてほしいという思いもあります。そこで上遠さんはこう言いました。「感じたことによって、不思議だと思った土に知識の種がまかれる。それが今は逆で、知識が先にくるので、土が耕されないうちに知識が入ってくる。だから物知り博士はたくさんいるけれども、本当の森のにおいを、ふかふかした土の柔らかさを、どんぐりの落ちる音を知らずに知識を覚えている」。そして「森のようちえんをやっている人たちは、土をたくさん耕してください。心から願っています」と話しておられました。

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