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森林保険制度は創設80周年

森林が自然災害に見舞われた時、所有者にその損失を補う森林保険制度が生まれたのは80年前の1937年でした。制度創設80周年の記念シンポジウムが10月31日、東京の学士会館で開かれたので参加してきました。

 

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●森林保険のシンポジウム

この保険は山火事に備えた制度として始まりました。戦後、各地にたくさんのスギやヒノキが植えられた拡大造林の過程で、風害、雪害、凍害、干害などの気象災害が対象に加わり、1977年に北海道・有珠山が噴火した後には火山災害も対象とされています。最近の被害額は年間30億円程度で、年間160億円程度に達していた1980年代などと比べるとかなり減っているそうです。

 

その関係で、興味を持ったのは、森林に被害をもたらす災害の変化に関する報告でした。最近でも多いのは風害と雪害です。かつて多かった凍害や干害はすっかり減りました。火災も減少傾向だそうです。凍害や干害は若い林でよく起こります。火事は人為的な原因が大半を占めるため、人の出入りが影響します。日本の山は戦後に植林された木々が成熟期を迎えていますが、一方で手入れの行き届かない山が増え、新植の面積も大きく減っています。日本の山から気象災害リスクの高い幼齢林が減ったこと、あるいは山に人が行かなくなってきたことが、こうした災害の変化に関係しているのだと分かりました。

 

被害額の減少は、災害の態様が変化したことも関係しているでしょうが、そもそも加入率が今や1割を切っていると聞きました。保険に加入するかどうかは、もちろん森林所有者の判断によるわけですが、背景には山への関心の低下もあるのだろうと感じました。森林保険を通して、山の様々な側面が垣間見られるようですが、そもそも「もう大学に森林保険の研究者はいません」という発言があったことにも驚きました。改めて多くの課題を意識することができた、有意義なシンポジウムでした。

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